公式の丸暗記に走ってしまいがちな人ほど、挫折しやすいように感じる単元です。
ここでは,何人かを,いろいろな方法で分ける方法について考えます。
問題文が「区別がつくものを,分ける」となっていれば,すべて同じです。
例題 1 9 人を A,B,C の 3 部屋に分ける方法は何通りあるか。
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どの部屋から決めてもかまいません。(格言 6)
A の部屋に入る人の決め方は,9C3 通り
B の部屋には,残った 6 人から 3 人を選ぶから,6C3 通り
C の部屋には,残った 3 人全員が入るから,1 通り
以上より,9C3 × 6C3 = | 9・8・7・6・5・4 | = 1680 (通り)
| 3・2・1・3・2・1
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部屋に分けてしまう前に,A,B,C の札を 3 枚ずつ用意しておき,9 人に配ることにすれば,
できた式は AAABBBCCC の並べ方(同じものを含む順列)と等しくなります。
例題 2 9 人を A,B,C の 3 部屋に,それぞれ 5 人,2 人,2 人と分ける方法は何通りあるか。
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9C5 × 4C2 と計算しても良いですし,
「定員があるから AAAAABBC の並べ方と等しい」と考えてもかまいません。
どちらも等しく,756 通りとなりますが,ちょっと見方を変えて考えます。
決める順序は関係ない ことを利用すると,
C,B,A の順に分けても良いことになります。
C,B,A の順に分けると,式は 9C2 × 7C2 となります。最初の考え方と比べると…
9C2 × 7C2 = | 9・8・7・6
| 2・1・2・1
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9C5 × 4C2 = | 9・8・7・6・5・4・3
5・4・3・2・1・2・1
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約分されて等しくなることが分かります。
このことから,人数の少ない部屋(箱)から決めるほうが,より効率的であるといえます。
例題 3 9 人を 3 人ずつの 3 組に分ける方法は何通りあるか。
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例題 1 との違いは,部屋に区別が無くなることです。例題 1 では,
(a,b,c)(d,e,f)(g,h,i) と分けることと,
(d,e,f)(a,b,c)(g,h,i) と分けることは異なるものとして数えています。
「3 人ずつの 3 組に分ける」 だけでは,部屋 A,B,C の並べ方に区別がつかなくなりますから,
例題 1 で求めた 1680 通りを 3! で割ることになります。よって,
例題 4 9 人を 5 人,2 人,2 人の 3 組に分ける方法は何通りあるか。
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例題 3 だけだと,一律に 3! で割る,と勘違いされそうなので,念押しです。
例題 2 のうち,2 + 2 (人) に区別がなくなるので,
756 ÷ 2! = 378 (通り)
つかみ足りない向けの例題(大切なのは,式をたてることなので,計算は行いません。)
例題 4 - 2 12人を, 2 + 2 + 4 + 4 の 4 組に分ける方法は, | 12C2 × 10C2 × 8C4
| 2! × 2!
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例題 4 - 3 9 人を, 2 + 2 + 2 + 3 の 4 組に分ける方法は, | 9C2 × 7C2 × 5C2
| 3!
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(区別のつかない組)! で割り続けるのがコツです。
例題 5 | 区別のつく 9 個の玉を A,B の 2 箱に分ける。
空き箱があっても良いものとすると,その分け方は何通りあるか。
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ポイントは,何個入れても良いことに加え,空き箱があっても良いことです。
こうなると,全ての玉に対して,A ,B のどちらに入れても良いことになります。
2 通りずつの選択肢が,9 個の球すべてに与えられたので,29 = 512 (通り)
2 と 9 が逆に見える人は,重複順列の考え方を復習しましょう。
例題 6 | 区別のつく 9 個の玉を A,B の 2 箱に分けるとき,
空き箱ができないように分ける方法は何通りあるか。
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最も簡単な考え方は,例題 5 から条件を満たさないものを除くことです。
例題 5 のうち,条件を満たさないものは,
「全て A の箱に入る」ときと「全て B の箱に入る」の 2 通りだけです。
よって,29 − 2 = 510 (通り)
よくある誤答:「最初に玉を 2 個入れてしまえば?」
最初に玉を 2 個入れても良いのは,「区別のつかない玉を」 A,B の 2 箱に分けるときです。
玉には区別がつくので,先に 2 つの玉 a,b を入れてしまうと,
a と b が同じ箱になる場合を数え落とすことになります。
粘る人:「最初に分かれる 2 個を選んでしまえば?」
分かれる玉がa, b とした後,[ac],b となる分け方と,
分かれる玉がc,b とした後,[ac],b となる分け方は異なるとして考えてしまっています。
どちらの考え方も、すべての状況を網羅できれば正しくなりますが、それが面倒なのです・・・
「区別のつく、つかない」で混乱している人はこちらを読んでみてください。
例題 7 | 5 人を A,B,C の 3 部屋に分ける。
1 人も入らない部屋があって良いとすると,その分け方は何通りあるか。
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例題 5 が理解できれば簡単です。
35 = 243 (通り)
このことから,一般にも次のことが成り立ちます。
区別のつく n 個の球を,区別のつく r 個の箱に入れる。
空き箱があっても良いときの方法は,nr 通り
例題 8 | 異なる 5 個の玉を A,B,C の 3 箱に分けるとき,
空き箱ができないような分け方は何通りあるか。
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例題 6 と同様に,例題 7 から,条件を満たさないものを除く作戦に出ます。
[A] | 全ての玉が同じ箱にあるとき
「すべての球をどの箱に集めるか」を決めるだけでよいから,3 通り
| [B] | ちょうど 2 箱に入れるとき
例題 6 だけでは,空き箱が C のものしか数えません。
よって,空き箱となる箱の選び方(3 通り)をさらに掛けなくてはいけません。
よって,3 箱のうち,ちょうど 2 箱に入れる方法は,3×(25− 2) 通り
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以上より,求める分け方は,
35ー 3×(25− 2) ― 3 = 150 (通り)
n ≧ 3 のとき,区別のつく n 個の球を,区別のつく 3 個の箱に入れるとき,
空き箱を作らないように分ける方法は, 3n− 3(2n)− 3
= 3n− 3 × 2n + 3 (通り)
m人をn部屋に空き部屋なく分ける問題の深入り
m人をn部屋に空き部屋なく分ける方法の計算機
例題 9 | 9 人を A,B,C の 3 部屋に 3 人ずつ分けるとき,
a さんと b さんの入る部屋が異なるように分ける方法は何通りあるか。
(補足: a さんと b さんは 9 人のうちの 2 人,と解釈してください)
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a さんが入る部屋の決め方は,3 通り
b さんが入る部屋の決め方は,2 通り
残った 7 人が入る部屋の決め方は,7C2 × 5C2通り
以上より,3 × 2 × 7C2 × 5C2 = 1260 (通り)
例題 10 | 9 人を 3 人ずつの 3 組に分けるとき,
a さんと b さんが異なる組となるような分け方は何通りあるか。
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残りの 7 人を 2 人,2 人,3 人と分けるのですが,
すでに「a さんの組」「b さんの組」と区別がついています。
よって,7C2 × 5C2 = 210 (通り)
勿論,例題 9 を 3! で割っても良いのですが,わざわざ例題 9 を持ち出す必要はなさそうです。
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