小さい順に並べるのは難しい?

文字の一部の順番を変えない問題

例題 1  ENGLISHの7文字を並べ替えるたもののうち、
N,G,I,Hの順番がこのままであるようものは何個あるか。
また、そうなる確率を求めよ。

この問題にも、お約束があります。
順番を保存する文字をすべて同じにして、元に戻すのです。
下の動画で考えてみてください。

N,G,I,H をすべて N に取替えて、
EGLH 各 1 つと N 4 つの並べ方は(同じ文字を含む順列より)
7! =210 (通り)
4!
元に戻す方法は 1 通りしかない(左からに自動的に N,G,I,G となる)ので、
このまま210通りが答となります。
確率は,7! 通りのそれぞれが同様に確からしので、
11
4!24
この等式の左辺に注目すると、
1  となっている点も注目するべきでしょう。
NGIH の並べ方

全事象が同様に確からしいときは、逆転の発想で
(条件付順列の場合の数)=(全事象の場合の数)×(条件を満たす確率)
となっているのです。

例題 2  (1) 0 から 9 までの数字を使って 3 桁の整数を作るとき,
  百の位 > 十の位 > 一の位 となる数は何個あるか。
 (2) 0 から 9 までの数字を使って 3 桁の整数を作るとき,
  百の位 < 十の位 < 一の位 となる数は何個あるか。
 (3) 3桁の整数から無作為に 1 つの整数を選ぶとき,
  百の位 > 十の位 > 一の位 である数を選ぶ確率を求めよ。

(1)  一の位が一番小さいので,一の位は 0 となってもかまいません。
あらかじめ大きい順に,9,8,7,…,0 と並べておき,10 個の数から 3 つを選びます。
例えば,9,5,3 を選んだとすると,自動的に各位の数が定まってしまいます。
これより,求める場合の数は,
10C3 = 120 (個)
(2)  百の位に 0 は選べないので,候補は 9 個に減り,残りは(1)と同様ですから,求める場合の数は,
9C3 = 84 (個) まだ信じられない人は,下のスライドで理解してください。
(3) 3 桁の整数は,100 から 999 までの 900 個があります。
このうち,百の位 > 十の位 > 一の位 となるものは,(1) より120 個あるので,求める確率は,
120 = 4
90030

例題 3  A,B,C,D,E,F の 6 文字すべてを使ってできる文字列のうち、
B は C より左に,D は C より右にあるものは何個あるか。

 読みづらい題材ですが,早い話が,「B,C,D の順がこのままであるもの」ですから,求める場合の数は,
6! = 120 (個)
3!

重複組合せについて

例題 4  等式 x + y + z = 6 を満たす,負でない整数(x,y,z)の組は全部で何個あるか。

「負でない整数」とは,「0 以上の整数」を意味します。

「+」 が 2 つ,右辺が 6 なので,+ を 2 個,○を 6 個用意します。
例えば,○○○+○+○○ であれば,(3,1,2)が対応し,
例えば,○○++○○○○ であれば,(2,0,4)が対応します。
このことから,求める組合せの個数は,++○○○○○○ の並べ方の総数と一致します。
よって,8! = 28 (個)
2!6!

一般に,等式 x + y + z = n (ただし,n は 0 以上の整数)を満たす負でない整数解の個数は,
n + 2C2 個あります。

さらに拡張して,a1 + a2 + a3 + ・・・ + ak = n (ただし,0 ≦ kn
を満たす負でない整数 a1, a2, a3, ・・・ ,ak の組は,
(+の個数は k - 1 個あるから,) n + k - 1Cn 個あります。

定義  異なる n 個から,重複を許して k 個選ぶ組合せを,
 n 個から k 個とる重複組み合わせといい,記号で nHk と書く。

定義そのものがよくわからないことを言っているような気がしますので,とりあえず例題です。

例題 5  りんご,みかん,梨の 3 種類の果物から合計 6 個とる。
とらない果物があっても良いとすると,その選び方は何通りあるか。

この例題の場合,果物は 3 種類あるので,n = 3,合計 6 個とるので,k = 6 ですから,
記号で表すと,3H6 通りとなります。
このように,記号 P,C と大きく異なるのは,n > k でも良いことです。
ところで,りんご + みかん + 梨 = 6 ですから,例題 4 と同じとみることができます。
よって,6 + 2C6 = 28 (通り)

このことから,nHk = n + k - 1Cn が成り立ちます。
言い換えると,重複組合せの問題はすべて例題 4 と同じように読み替えることができるので,
記号 H を無理に理解する必要はありません。

例題 6  等式 x + y + z ≦ 6 を満たす,負でない整数(x,y,z)の組は全部で何個あるか。

不等号になっただけで難しく感じるかもしれませんが,冷静に・・・
x + y + z = 0 から x + y + z = 6 まで,整数解の個数を順に加えれば良いのです。
ただし,このままでも効率的とは言えません。さらに,読み替えると,
x + y + z = 6 - 6 から x + y + z = 6 - 0 までの整数解の個数の総数で,
まとめると,x + y + z = 6 - w (w = 1,2,3,4,5,6)の整数解の個数です。
移項すると,w + x + y + z = 6 を満たす整数解の個数と等しくなるので,
6 + 3C3 = 84 (個)

例題 7  a,b,c,d を整数とする。
(1) 1 ≦ a ≦ b < c ≦ 6 を満たす整数 (a,b,c,d) の組は何個あるか。
(2) 9 ≧ a ≧ b > c ≧ d ≧ 1 を満たす整数 (a,b,c,d) の組は何個あるか。
(3) 9 ≧ a ≧ b ≧ c ≧ d ≧ 1 を満たす整数 (a,b,c,d) の組は何個あるか。

今度は等号つきの不等式を含む場合について考えます。
(1) 記号 ≧ は「>」または「=」ですから,この 2 つに分けて考えます。
[A] a < b < c となるとき
 このような整数 (a,b,c) の組は,例題 2 の(1) より,6C3 = 20 (個)
[B] a = b < c となるとき
 選ばれる数は 2 種類であるから,このような整数 (a,b,c) の組は,6C2 = 15 (個)
[A],[B] は同時に起きないので,求める選び方は,20 + 15 = 35 (個)

ちょっとした裏技を紹介します。それは…
オールマイティーカードを 1 枚追加することです。
1,2,3,4,5,6 と書かれた 6 枚のカードに加えて,カード A を用意します。
A を選んだ場合は,「a = b となる」と規則をつけます。
例えば,A,2,5 を選んだ場合は,a = b = 2,c = 5 となり,矛盾なく対応します。
(念のため,スライドも用意しました。)

よって,全部で 7 枚のカードから 3 枚を選ぶ方法と等しくなるから,7C3 = 35 (個)

(2) (1)の後半の話が理解できてしまうと,次のような解法が可能となります。
9 から 1 までのカード 1 枚ずつと,カード A,B をそれぞれ 1 枚用意する。
A を選んだ場合は a = b となり,B を選んだ場合は c = d となるように規則づける。
例えば A,9,7,5 を選んだ場合は (9,9,7,5) が対応し,
例えば B, 9,7,5 を選んだ場合は (9,7,5 5) が対応し,
さらに A,B,9,7 を選んだ場合は (9,9,7,7) が対応するので,矛盾は生じない。
これより, 11 枚から 4 枚を選ぶ方法と等しくなる。
求める整数の組は,11C4 = 330 (個)

a,b,c の間にある「≦」の個数だけ,オールマイティーカードを追加すれば良いのです。

(3) すべて等号がある場合は重複組合せの考え方を用いることができますが,
ここまでの話が理解できていれば重複組合せが理解できなくても構いません。
「≦」が 3 つあるので,オールマイティーカードを 3 つ加えれば良いとわかります。
これより,9 + 3C4 = 12C4 = 495 (個)

例題 8  さいころを 4 回投げ,出る目を順に a,b,c,d とする。
a ≧ b > c ≧ d となる確率を求めよ。

観察の対象がさいころになっても考え方は変わりません。やはり,オールマイティーカードを利用します。
全事象は 64 通りあり,それらは同様に確からしい。
さいころの目を 1 から 6 までのカードと考え,これに A と B のカードを追加する。
A を選んだときは a = b を,B を選んだときは c = d を対応させることにすれば,
条件を満たす組が 1 つ定まるから,この選び方は 8C4 通り。
よって,求める確率は,
8C4 = 35
64648

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