このことから,nHk = n + k - 1Cn が成り立ちます。
言い換えると,重複組合せの問題はすべて例題 4 と同じように読み替えることができるので, 記号 H を無理に理解する必要はありません。
例題 6
等式 x + y + z ≦ 6 を満たす,負でない整数(x,y,z)の組は全部で何個あるか。
不等号になっただけで難しく感じるかもしれませんが,冷静に・・・
x + y + z = 0 から x + y + z = 6 まで,整数解の個数を順に加えれば良いのです。
ただし,このままでも効率的とは言えません。さらに,読み替えると,
x + y + z = 6 - 6 から x + y + z = 6 - 0 までの整数解の個数の総数で,
まとめると,x + y + z = 6 - w (w = 1,2,3,4,5,6)の整数解の個数です。
移項すると,w + x + y + z = 6 を満たす整数解の個数と等しくなるので, 6 + 3C3 = 84 (個)
例題 7
a,b,c,d を整数とする。
(1) 1 ≦ a ≦ b < c ≦ 6 を満たす整数 (a,b,c,d) の組は何個あるか。
(2) 9 ≧ a ≧ b > c ≧ d ≧ 1 を満たす整数 (a,b,c,d) の組は何個あるか。
(3) 9 ≧ a ≧ b ≧ c ≧ d ≧ 1 を満たす整数 (a,b,c,d) の組は何個あるか。
今度は等号つきの不等式を含む場合について考えます。
(1)
記号 ≧ は「>」または「=」ですから,この 2 つに分けて考えます。
[A] a < b < c となるとき
このような整数 (a,b,c) の組は,例題 2 の(1) より,6C3 = 20 (個)
[B] a = b < c となるとき
選ばれる数は 2 種類であるから,このような整数 (a,b,c) の組は,6C2 = 15 (個)
[A],[B] は同時に起きないので,求める選び方は,20 + 15 = 35 (個)
ちょっとした裏技を紹介します。それは… オールマイティーカードを 1 枚追加することです。
1,2,3,4,5,6 と書かれた 6 枚のカードに加えて,カード A を用意します。
A を選んだ場合は,「a = b となる」と規則をつけます。
例えば,A,2,5 を選んだ場合は,a = b = 2,c = 5 となり,矛盾なく対応します。
(念のため,スライドも用意しました。)
よって,全部で 7 枚のカードから 3 枚を選ぶ方法と等しくなるから,7C3 = 35 (個)
(2)
(1)の後半の話が理解できてしまうと,次のような解法が可能となります。
9 から 1 までのカード 1 枚ずつと,カード A,B をそれぞれ 1 枚用意する。
A を選んだ場合は a = b となり,B を選んだ場合は c = d となるように規則づける。
例えば A,9,7,5 を選んだ場合は (9,9,7,5) が対応し,
例えば B, 9,7,5 を選んだ場合は (9,7,5 5) が対応し,
さらに A,B,9,7 を選んだ場合は (9,9,7,7) が対応するので,矛盾は生じない。
これより, 11 枚から 4 枚を選ぶ方法と等しくなる。 求める整数の組は,11C4 = 330 (個)
さいころを 4 回投げ,出る目を順に a,b,c,d とする。
a ≧ b > c ≧ d となる確率を求めよ。
観察の対象がさいころになっても考え方は変わりません。やはり,オールマイティーカードを利用します。
全事象は 64 通りあり,それらは同様に確からしい。
さいころの目を 1 から 6 までのカードと考え,これに A と B のカードを追加する。
A を選んだときは a = b を,B を選んだときは c = d を対応させることにすれば,
条件を満たす組が 1 つ定まるから,この選び方は 8C4 通り。
よって,求める確率は,