サイコロに関係する事象の考察
問題 サイコロを1つ振り、
出た目によって座標平面上の点Pを以下のルールで動かす。
最初に点Pは原点にあるとするとき、次の問いに答えよ。
1の目が出たらx軸の正の方向に1進む。
2または3の目が出たらx軸の負の方向に1進む。
4の目が出たらy軸の正の方向に1進む。
5または6の目が出たらy軸の負の方向に1進む。

[1] 2回サイコロを振った後に原点に戻る確率を求めよ。
[2] 4回サイコロを振った後に原点に戻る確率を求めよ。
[3] 4回サイコロを振った後に点Pが座標(1,1)にある確率を求めよ。
これはさいころによる数直線運動の応用問題です。
ただし、一般の反復試行が、対象とする事象が2通りであるのに対し、こちらは4通りです。
それでも、まったく同様に考えていきます。お約束の準備として、事象を上から順に
A,B,C,Dと名づけます。ここまでをヒントにして、考えてみましょう。

解説はこちら

解答
[1] x軸上のみを動いて戻る確率とy軸上のみを動いて戻る確率を考えます。
x軸上を動くときは、ABが1回ずつ出れば良いので、2×(1/6)×(1/3)=1/9です
今までの反復試行と大きく異なるのは、2つの確率(1/6と1/3)を足しても1にならないことですが、
まったく構わずに公式どおり計算してよいのです。
y軸上を動く時も同様に確からしいので、2倍すれば、全部で2/9となります。
[2] 次のように場合分けします。
(i) x軸上のみを動くとき
もちろん、A,B2回ずつですから、42(1/6)2(1/3)2=6/182です。
すぐに約分しないように!
(ii) y軸上のみを動く時
(i)と同じなので、これも6/182です。
(iii) A,B,C,D1回ずつ出るとき
1回ずつ出れば、どんな順番でも原点に戻るので、
4!×(1/6)×(1/6)×(1/3)×(1/3)=24/182となります。
以上の3つの確率全てが6/182を含んでいることに注意すれば、
6(1+1+4)/182=6・6/182=1/9となります。
[3] とりあえずまっすぐ(1,1)に向かうには、AC各一回ずつでなくては行けません。
その後、ABと出るか、CDと出るかです。
ACABと出る時、順番も考慮すれば、
4!/2!(1/6)2(1/6)(1/3)=6/6・6・3=1/18
4!/2!は、AABCの並べ方(同じ物を含む順列)です。
ACCDと出る時も同様に確からしいので、(1/18)×2=1/9となります。
[2]と同じ確率になるのは、A,B,C,Dの設定による偶然で、設定を (例えばB:2が出るとx軸の負の方向、C:3,4が出るとy軸の正の方向などのように)変えれば、 [2]と[3]の確率は異なるものになると思います。

発展 この上の問題は、私がall-nature氏に、冗談半分で投稿した問題です。(問題設定を一部変更)
6回だと大変だよ!というメッセージを残して放っておいたのですが、なんと、彼から2n回への拡張に成功したとの メールを頂き、読んでみたところ、完璧に拡張に成功していました。さらに、私がその式をじっくりと読んだところ、 更に簡単になってしまったので、レベルMで紹介します。(一部変更を加えています)

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