最短経路の場合の数について

同じものを含む順列の応用です。

例題 1  図 1 のような街路をもつ町がある。A 地点から B 地点へ最短経路で向かうとき,その道順は何通りあるか。

 カーソルキーで,「→」と「↓」だけを使って B 地点へ向かう方法と捉えます。
どの経路であっても,→を 6 回,↓を 5 回押すと,B 地点に到着します。
よって,→ 6 個と↓ 5 個の並べ方と等しくなるので,求める場合の数は,
11! = 11・10・9・8・7 = 462 (通り)
6!5!5・4・3・2・1

この問題を,次の手法で教わった人がいるかもしれません。

原理が分からなくても、小学生でもできそうな解法といえますが,1 度でも足し算を間違えると終わります…
見方を変えて,A を中心に,時計回りに 45°回転すると,パスカルの三角形となります。
この加えていく解法,実は,パスカルの三角形の原理に従っているだけなのです。

例題 2  図 2 のような街路をもつ町がある。
A 地点から B 地点へ最短経路で向かうとき,次のような道順はそれぞれ何通りあるか。
(1) C を通る
(2) C を通らない
(3) D を通る

(1)  A から C までと,C から B までの道順に分けて考えます。
A から C までの最短経路は,5! = 10 (通り)
2!3!
C から B までの最短経路は,6! = 20 (通り)
3!3!
以上のことがらは独立しているから,10 × 20 = 200 (通り)
(2)  A から B まで向かう方法は,例題 1 より,462 通り
このうち,C を通るものは,(1) より,200 通りある。
よって,C を通らない最短経路は,462 − 200 = 262 (通り)
(3)  D が交差点でない場合も,(2) と同様に考えます。
A から「D の入り口」までの最短経路は,4! = 6 (通り)
2!2!
「D の出口」C から B までの最短経路は,6! = 15 (通り)
2!4!
以上より,D を通る方法は,6 × 15 = 90 (通り)

例題 3  図 3 のような街路をもつ町がある。
A 地点から B 地点へ最短経路で向かう方法は何通りあるか。

このように,最初から穴が開いているときも,右図のように条件なしの街路を作ってしまいます。
条件なしで A から B へ向かう方法は,11! = 462 (通り)
6!5!
このうち,E を通過する方法は,4!×7! = 210 (通り)
2!2!4!3!
Fを通過する方法は,5!×6! = 200 (通り)
3!2!3!3!
E,F 両方を通過する方法は,4!×6! = 120 (通り)
2!2!3!3!
以上より,E まはた F を通過する方法は,210 + 200 − 120 = 290 (通り)
よって,E も F も通過しない方法は,462 − 290 = 172 (通り)
「例題 3 の(2) から D を通過する場合を除く」ことに気づいた人はすごいと思います。


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