例題 1 12 の正の約数は何個あるか。
また,12 の正の約数の総和を求めよ。
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この程度であれば,列挙したほうが早いですね…
1,2,3,4,6,12 の合計 6 個です。
補題 正の数 a に対して, a0 = 1 である。
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証明 |
a ÷ a = 1 である。 …[1]
一方,指数法則より,
a ÷ a = a1−1 = a0 …[2]
[1],[2] より, a0 = 1 (終)
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とても唐突な補題に見えますが,きちんと意味があります。
例題 1 に戻ると,12 を素因数分解すると,12 = 22 × 31 となります。
この補題を用いると,12 の約数は,すべて 2m × 3n の形に表せます。
試しに列挙してみると…
1 = 20 × 30,2 = 21 × 30,3 = 20 × 31,
4 = 22 × 30,6 = 21 × 31,12 = 22 × 31
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ちょっと並べ替えると…
1 = 20 × 30 | 2 = 21 × 30 | 4 = 22 × 30,
| 3 = 20 × 31 | 6 = 21 × 31 | 12 = 22 × 31
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しつこいですが…
この表より,0 ≦ m ≦2 ,0 ≦ n ≦1 を満たす整数 m,n の組合せの個数だけあります。
0 が必ず加わるので,次のような性質があります。
2 以上の自然数 N を素因数分解すると
N = pkqmrn・・・
となるとき, N の正の約数の個数は,
(k + 1)(m + 1)(n + 1) …
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「0」の分が増える,ということです。
約数の総和について
12 の正の約数の総和について,あえて 2 = x,3 = y とおくと,12 の正の約数の総和は,
1 + x + x2 + y + xy + x2y
= (1 + x + x2) + y(1 + x + x2)
= (1 + x + x2)(1 + y)
よって,12 の正の約数の総和は,(1 + 2 + 4)(1 + 3) = 7 × 4 = 28
一般の 2 以上の自然数 N の正の約数の総和についても,同様のことが成り立ちます。
例題 2 | 次の自然数の正の約数は何個あるか。また,正の約数の総和を求めよ。
| (1) | 90
| (2) | 224
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(1) 90 = 21 × 32 × 51 より,
90 の正の約数の個数は,(1 + 1)(2 + 1)(1 + 1) = 12 (個)
90 の正の約数の総和は,(1 + 2)(1 + 3 + 9)(1 + 5) = 3 × 13 × 6 = 234
(2) 224 = 25 × 71 より,
224 の正の約数の個数は,(1 + 5)(1 + 1) = 12 (個)
224 の正の約数の総和は,(1 + 2 + 4 + 8 + 16 + 32)(1 + 7) = 63 × 8 = 504
蛇足ですが,「ボイル・シャルルの法則」で見かける,22.4 を意識しました。
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