定理
| x,y,z は正の整数であるとする。
最初,袋の中には白玉 x 個と赤玉 y 個が入っていて,以下の試行を繰り返す。
試行:袋から玉を 1 個取り出し,取り出された玉と同じ色の玉を z 個追加して戻す。
この試行を何度繰り返しても,白玉が取り出される確率は常に
| x | である。
| x + y
|
|
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n を自然数とし,n 回目に白玉を取り出す確率を pn とすると,
明らかに,p1 =
| x | です。 ・・・・・・[1]
| x + y
|
n 回目の試行における全体の個数は,初項 x + y ,公差 z の等差数列に従うので,
n 回目の試行における全体の個数は,x + y + z (n − 1) (個)です。 ・・・・・・[2]
しかし,1 回目に白を取り出したときと,赤玉を取り出したときで,2 回目以降の白玉の個数が変わります。
どんどん繰り返していくと,いよいよその個数が分からなくなります。
そこで,n 回目の試行における白玉の個数を an とおくと,[2] より,
pn =
| an | が成り立ちます。
| x + y + z (n − 1)
|
これより,an = {x + y + z (n − 1)}×pn ・・・・・・[3]
an の一般項が分からないので,漸化式を作って an を消去することを試みます。
[事象 A] n 回目に白玉を取り出すとき
白玉の個数は an + z (個)となるので,
この条件下で n + 1 回目の試行において,白玉を取り出す確率は,
| an + z
| x + y + nz
|
よって,n 回目も n + 1 回目も白玉を取り出す確率は,
[事象 B] n 回目に赤玉を取り出すとき
白玉の個数は an 個のままなので,
この条件下で n + 1 回目の試行において,白玉を取り出す確率は,
| an
| x + y + nz
|
よって,n 回目に赤玉を取り出し, n + 1 回目に白玉を取り出す確率は,
事象 A と事象 B は互いに排反なので,
pn + 1 =
| pn (an + z) + (1 − pn)an
| =
| z pn + an
| x + y + nz
| x + y + nz
|
ここで,[3] より,
pn + 1 =
| z pn + {x + y + z (n − 1)}×pn
| =
| (x + y + nz)pn
| = pn
| x + y + nz
| x + y + nz
|
よって,
pn + 1 = pn が成り立つので(隣同士の項が等しいから),
数列 {pn} は常に一定であり,p1 とも等しくなります。
よって,n の値に関わらず,白玉を取り出す確率は,常に
| x | です。(終)
| x + y
|
袋の中の玉が 3 色以上であっても,白玉と「白でない玉」に分けて考えれば,同じことです。
袋の中の玉が 2 色で,取り出した球と異なる色の玉を戻すことを無限に繰り返すと,
確率は(中和されて) 1/2 に収束することも知られています。
<参考>:2016 年 同志社大学の問題
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