その他変則的な確率について

ここでは、確率がある法則によって指定された場合のことを考えます。
ほとんどの場合この法則をよく読んでいくしかありません。

例題:甲、乙2人で、それぞれ勝つ確率が下表に示されるゲームで続けて行う。

甲、乙のどちらか一方が続けて2度ゲームで勝ったとき試合は終了し、2度続けて勝った者が試合の勝者となる。
このとき、次の問いに答えよ。
第1回目のゲーム甲が勝った次のゲーム乙が勝った次のゲーム
甲の勝つ確率2/32/31/5
乙の勝つ確率1/31/34/5
(1)3回以内のゲーム数で試合が終了する確率を求めよ。
(2)4回のゲームで試合が終了したことが分かっている。このとき、甲が勝者となっている確率を求めよ。
(3)甲、乙のどちらかが試合に勝つ確率が大きいかを調べよ。

(1)  甲甲の順に勝つ確率は(2/3)*(2/3)=4/9
乙乙の順に勝つ確率は(1/3)*(4/5)=4/15
乙甲甲の順に勝つ確率は(1/3)*(1/5)*(2/3)=2/45
甲乙乙の順に勝つ確率は(2/3)*(1/3)*(4/5)=8/45
以上より、求める確率は(4/9)+(4/15)+(2/45)+(8/45)=14/15
(2)  4回で終了する確率をまず考える。
4回で終了するのは乙甲乙乙の順または甲乙甲甲の順に勝つときで、
乙甲乙乙の順に勝つときは、
(1/3)*(1/5)*(1/3)*(1/5)=1/225
甲乙甲甲の順に勝つ確率を考えればよいから、求める確率は、
(2/3)*(1/3)*(1/5)*(2/3)=4/135
よって、求める条件付確率は、
(4/135)/(1/225+5/135)=20/(3+25)=5/7

(3) これが一番難しいです。有利不利の問題で確認することは、
甲が勝者になる確率が1/2より大きい…甲のほうが高い
甲が勝者になる確率が1/2に等しい …甲乙ともに等しい
甲が勝者になる確率が1/2より小さい…乙のほうが高い

ということで、甲の確率のみに注目していくことになります。(乙が勝者となる確率はその余事象)
(1)でお分かりの通り、偶数回のときは甲が勝者になる確率の方が高く、
奇数回の方は乙が勝者になる確率のほうが高くなっています。
もちろん、これで回答にしてしまっても構わないのでしょうが、それでは解答としては不完全である気がします。
そのようなことも考えたうえで、下のように考えてみました。

(i) 偶数回後に甲が勝者となる場合

2回で勝者となる確率は(1)より(2/3)*(2/3)=4/9
4回で勝者となる場合は、甲乙甲甲の順となるから、(2)より
(2/3)*(1/3)*(1/5)*(2/3)=(4/9)*(1/15)
6回で勝者となる場合は、甲乙甲乙甲甲の順となるから、
(2/3)*(1/3)*(1/5)*(1/3)*(1/5)*(2/3)=(4/9)*(1/15)2
よって、2n回後に甲が勝者となる確率は初項4/9、公比1/15の等比数列で、
無限回続くこともありえるから、その無限等比級数を考えると、
偶数回後に甲が勝者となる確率は(4/9)÷(14/15)=10/21

(ii) 奇数回後に甲が勝者となる場合

3回で勝者となる確率は、(1)より(1/3)*(1/5)*(2/3)=2/45
5回で勝者となる場合は、乙甲乙甲甲の順となるから、
(1/3)*(1/5)*(1/3)*(1/5)*(2/3)=(2/45)*(1/15)
(i)の場合と同様に、奇数回後に甲が勝者となる確率は初項2/45、公比1/15の無限等比級数で、
その値は(2/45)÷(14/15)=1/21

以上より甲が勝者になる確率は11/21で、甲が勝者になる確率の方が高い。
(本当にわずかの差ですが。。。。)

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